第18話 7月28日放送

「マザコン」

 僕はマザコンです。ファザコンでもあります。 子供の頃、大好きな漫画を上手く描いても「勉強しなさい!」
 バイクの免許を取りたいと言っても「塾に行きなさい!」。
漫画家になりたいと言っても「バカな事を言うな!」
ことごとく却下で、誉められた事がありません。
 今、僕が似顔絵を描いている事も、親にとっては「そんなもの」なのです。 だったら自立しようと行動しても、心の奥に、親から誉めてもらいたいという欲求が、 いつまでたっても抜けきれずにいます。 これはマザコンの何ものでもありません。
 一度、誉められた事があります。その時は素直に嬉しくなりましたが、 逆にイイ息子になった事が無いので、どう対応したらいいのか分からず、 息苦しくなりました。
 ちょっと前に、仲間たちと居酒屋で飲んでいたら、 隣の席にいた年輩の女性に「みつるくん」と声をかけられました。
「どちら様ですか?」
と訊ねると、僕が保育園に通っていた時の先生だったんです。
「もう30年以上前の事だけど、あなたは、忘れられない人なの」
「みんなで粘土遊びをすると、普通は粘土板の上に動物やお花を作るのに、 あなただけは、壁に粘土を貼り付けて、オチンチンを作ってた」
「それと、しょっちゅう保育園から脱走して、お母さんの職場に行こうとしていたのよ」
「きっと、寂しかったんだね」
と、懐かしそうに話してくれました。 聞いていて恥ずかしくなりましたが、僕の記憶にない事を教えてくれて嬉しかったです。
 両親がいて、カミさんがいて、2人の子供がいる。 当り前のこの時間が、永遠に続くことが、僕の願いです。

続きは、また来週です。