第30話 10月20日放送

「婆ちゃんが守り神」

 家業の仕事を継ぐと決めたものの、こんな人生を歩んで行っていいのだろうか?
 やりたい事をやらずに、長男という宿命だけで自分の人生を犠牲にして行くのは、 あまりにも辛いことなんじゃないだろうか? とは言え僕にも家族がる。 「やりたい」とか「やりたくない」とかの問題ではなく、とにかく稼いでくる。 でも稼げるのか?自信がない。だったらサラリーマンがいいのか? それって夢もへったくれも無いじゃないか!
 自問自答していた29歳最後の日の夜です。 夢枕に、死んだ婆ちゃんが現れました。婆ちゃんは金色に光っていました。 夢の中の婆ちゃんは、はっきりと僕に、こう言ってくれました。
「婆ちゃんが、お前の事を見ているからな。何の心配もない、明日にでも墓参りにおいで。」
ハッと目が覚めた途端、涙が止めどなく溢れ出ました。 カミさんにも、こんな夢を見たと話しました。 「守護霊」とかって名前でくくられるのも嫌です。 家族を守らなければ!って責任の他に、自分の好きな生き方をしても大丈夫だよって 言ってくれる人が、僕にだけ存在しているって実感です。
 30歳の誕生日を向えた朝、昨日まで見ていた景色が全く違って見えました。 意識が変わるって、見るものも、空気までもが変わるように感じました。 会社に向う朝、婆ちゃんが眠る墓の前に座り、「ありがとう」って手を合わせました。
 最近聞いた話ですが、病に倒れ、現在車椅子で社会復帰した友人が教えてくれました。 動けない身体になった時、目の前を歩く人達を恨んだそうです。 リハビリを始めた時、桜がこんなに綺麗だとは今まで思わなかったそうです。
 自分を信じて前向きに生きて行けば何とかなる。 人は変わる。何でも決め付けるって愚かなことなんだと気がつきました。 人は変わるんだというのは、似顔絵を表現するにも大切なことでした。 つまり、「似顔絵」と「肖像画」は違うと言う事です。

続きは、また来週です。