第33話 11月10日放送

「似顔絵と肖像画パートⅢ」

 特定のモデルを写真で撮ったように描く肖像画は、 そうそう簡単に、絵心があるからってそっくりに描けるものじゃありません。 まず、モデルの映像を目から脳にインプットさせる作業があります。 これは難しいことではありません。 こんどは、その脳に入った映像を手に伝えて描かなきゃいけないのです。 これが難しいのです。
 僕なりの分析ですが、まず映像を取り込んだ脳が手に向かって「こう動け」と指令を出します。 手はペン動かす準備が「いつでもOK」と納得します。
 ところが、次に目に入ってくるものは、真っ白い紙が見えるものだから、 さっき指令を出したばかりの脳が「あれ?どんな顔だったっけ?」って瞬時に忘れてしまい、手が「おい、どう動けばいいんだよ?」と戸惑うわけです。 この脳の迷いが、ペンを狂わせます。 脳と手が迷わず動くには、ものさしがあると便利なのですが、 紙に碁盤の目の線を入れなければなりません。
 そんな事までして描くのは、楽しさを越えてしまします。 ところが、脳に入った映像がアバウトなものでも「まぁ、いいや」とインプットされて、 それを、手に「こう動け」と指令すると、手は「ホントにそれでいいのか?」と、 半ばおふざけ状態で動きます。 こうして描いたものは、パロディやオカルト的な似顔絵になるのです。
 似顔絵も肖像画も、上達するには訓練が必要です。 例えば、野球の基本的な練習で、ボールを遠くの小さな的に確実に当てるのと同じです。 脳を活性化させてから身体で覚えるしかないのです。 訓練して技を身に付けると、書かなくても碁盤の目のものさしが分かってきます。

続きは、また来週です。