第37話 12月8日放送

「母ちゃんを語る」

 僕は子供の頃すでに、父よりも母の方が権力は上だと分かっていました。 いわいるオヤジは母ちゃんの実家で「マスオさん」暮らしでしたから。
 母ちゃんは音楽や映画など娯楽的なものはあまり興味がなく、仕事が大好きなタイプ。 エプロン姿で台所に立っているイメージはなくて、 茶の間で帳簿を広げ、そろばんを弾いている印象が強かったです。
 ですから真面目で、しっかり者で、プライドが高い。漫画なんて、とんでもない! 僕への教育も「勉強しなさい!」「宿題しなさい!」「予習、復習しなさい!」 「いい大学に入って、国家公務員になりなさい!」と毎日言われ続けました。
 バイクの免許が取れる年齢になった時も、 「バイク」イコール「暴走族」ってイメージがあるらしく、却下。 部屋にテレビが欲しいと言っても、勉強しなくなるから却下。 子供の頃から貯めていたお年玉も「子供が通帳なんて10年早い」ってんで、 母に預けていたら、実は全部生活費に使われていました。 もう頭に来て歯向かえば「勉強しない奴が、生意気言うな!」ですから、撃沈です。 オヤジの会社を継ぐとなった時、貧乏ヒマ無しなもんだから、 「それだけは、なってほしくなかった」と嘆いていました。 そのお陰で今でも僕は、物欲がないんです。 ブランド物や一万円以上するものは、 自分には似合わないなぁって変に引いてしまうんです。
 そんな母ちゃんも歳老いて、リュウマチに苦しみました。 なおも脳の血管が詰まり倒れた時は、さすがの僕も最悪のことを覚悟しました。 ところが母ちゃんの生命力が強く、手術を重ね、見事に社会復帰してくれました。 その後、不自由な身体をバネに、60歳を過ぎて車の免許は取るは、ワープロを覚えるは。 母ちゃんのバイタリティには、頭が下がる思いです。

続きは、また来週です。