第43話 1月19日放送

「震戦(しんせん)病」

 今から3年前になるんですが、僕は病院の精神内科で診察を受けた事があります。 そこで先生から診断された病名は「震え戦う」と書いて「震戦病」と告げられました。 もう、一生治らない病気だとも言われました。 先生に向かって「何とか治してくれ!」って声を荒げたくらい、 僕にとっては、ショックが大きい病気だったんです。
 32歳ごろからだと思うんですが、人前に出ると手が震えるようになりました。 それは、緊張から来るものだと思っていたんです。 飲み会なんかで、先輩からビールを注いでもらう時に、ぶるぶる手が震えるんで、 「お前、アル中だろ?」なんて言われ、バカにされたりしました。 本当にアル中だったら、酒を飲まなきゃ治るだろうって思っていました。 ところが、その手の震えが、だんだん日常生活にも出てきて、 特に左手がひどく、味噌汁を口に含めなくなったんです。
 最悪なのが、手が震えるんじゃ、絵が描けないってことです。 せっかく、これだ!って見つけた生きがいを、なんで神様は邪魔するんだって、 心は真っ暗になってしまいました。 もしかしたら、自動車の鈑金塗装の仕事をしているんで、 塗料のシンナーが、僕の体質には合わなかったのか?それとも極度のストレス? いろんな事を考えましたが、とりあえず病院に向かいました。
 そこで診断されたのが「震戦病」。 ストレスと遺伝から来るものらしく、原因不明の病だそうです。 なんでだ・・・、なんで治らないんだ・・・。もう似顔絵は描けなくなるのかな? なんで俺だけ、こんな辛い想いばっかりしなきゃならないんだ・・・。 僕はもう情けなくて、自分の無力さを笑いました。

続きは、また来週です。