第5話 5月5日放送

「あっち向いてホイ」

 忘れもしません、小学校5年生の夏。いつものように教室に入ったら、 クラスのみんなが僕から目をそらすのです。一瞬で息苦しさを感じました。 昨日まで普通に遊んでいた仲間達が、まるで別人のように冷たい態度と視線を送るので、 何がどうして、どうなっているのか、頭ん中が不安だらけになりました。 自分が無視される理由に気付くまで、いろんな事を考えました。 そして、この辛い状況をどうすれば良いかも、いっぱいいっぱい考えました。 親にも言えず、先生にも言えない。学校を休むわけにもいかない。 日に日に辛さが益してきて、死にたいとも思いました。 でも、あきらめず耐えて上を向いていようと努力しました。 とにかく、この辛い毎日を何とかしなきゃいけないので、 ひたすら一人一人の顔色をうかがっていました。 誰でもいいから、穏やかな顔をしている人は、 もしかしたら、しゃべってくれるんじゃないだろうかと近付いて行きました。 そんな事の繰り返しでしたが、楽天的な性格が幸いしてか、 とりあえず一年後には、みんなと野球が出来る状況まで戻ることが出来ました。 僕はこの一年の体験で、人のいろんな表情を見る事が癖になってしまいました。 そんなこんなで中学2年生になった時、戦争で右腕を失った数学の先生との出逢いが、 似顔絵描きへと繋がって行く訳です。

続きは、また来週です